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ハッピーハロウィン!

「ネズさん、トリックオアトリート!お菓子ください!」
 今日はハロウィン。日頃からネズさんに一方的にドキドキさせられっぱなしなので、たまにはわたしからイタズラしちゃおう。きっとネズさんはお菓子を持っていないだろうし、いつも沢山いじわるされるから仕返しだ!と迫ってみた。ネズさんは一瞬目を見開いてから、やれやれと小さくため息をついた。
「仕方ないですね……こっちおいで」
 あ、お菓子くれるんだ。ちょっぴり残念に思いつつ(とはいえお菓子は欲しいので)近づいたら、急に顎を掴まれて唇が重なった。あれ?き、キスされちゃってる。ちゅ。ちゅ。後頭部に手を添えられて抵抗できない。舌が侵入してきて絡まる。口内が熱い。あ、ぁ、頭が回らなくなっていく……。
「ん、む、ぅ、っあ」
「はい、甘いの。欲しかったんでしょう」
「え、あ、そ、そうじゃなくて、お菓子、」
「もっと甘いのが欲しいんですか?欲張りさんですね。たっぷり甘やかしてあげますから、ベッド行きましょうね」
 あれ?あれ?ひょいと抱き上げられて、あっという間に寝室へと連れて行かれてしまった。どさりとベッドに下ろされる。
「おまえの悪巧みなんてお見通しです」
 わたしを押し倒したネズさんがいじわるな笑みを浮かべて顔を近づけてくるから、ああ、またわたしの負けだ。もう逃げられない。
「おれにイタズラしようだなんて百年早いですよ。わるい子は大人しく食べられてください」
 あ、あう、結局わたしがイタズラされちゃう側なんだ。どうしよう、今からきっと沢山いじわるされちゃうな、なんて想像したら不覚にも胸が高鳴ってしまって、頭にかあっと血がのぼるのが分かった。恥ずかしくて視線を逸らしたら、くすくすと笑われてまた深く甘い口づけが降ってきた。
「ふふ、ちょっと押し倒しただけですぐ赤くなっちまって。今夜もいっぱい可愛がってやりますからね、ハッピーハロウィン」

write:2020.10.31

edit:2020.12.05

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