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プレゼント
「え、誕生日だったんですか?」
なんとなくタイミングを逃して自分の誕生日を伝えずにいたら、「どうして教えてくれなかったんです」とちょっぴり責められてしまった。ええと、特に深い意味はないんですけど。
「プレゼント今から一緒に買いに行きましょう。何が欲しいですか」
そんな!プレゼントなんて大丈夫です。だいすきなネズさんとこうして一緒にいられるだけでとっても幸せなので……なんて、告白みたいなこと口が裂けても言えないけれど、でも本当に気を遣わせてしまうのが申し訳ないから黙っていたのに。
「じゃあ今からごはん食べに行きましょう。それならいいですよね?」
ネズさんと一緒にごはん!行きたいです!思わず即答してしまった。好きな人と食べるごはんほどおいしいものはないと思う。やったあ、うれしいな。
「何が食べたいですか?何でも好きなもの言っていいですよ」
ネズさんがそう言ってふわりと笑った。自然に手を繋がれてどきどきする。恥ずかしくなってちょっとうつむいたら、優しい表情を浮かべたネズさんがわたしの顔を覗き込んできた。
「遅くなっちまいましたけど、誕生日おめでとう。プレゼントは今度必ず買いに行きましょうね」
気を遣わせてしまったのは申し訳ないけれど、大好きな人にお祝いしてもらえたのはやっぱり嬉しい。来年の誕生日も、そしてその先もこうしてネズさんと過ごせたらいいな。それがわたしにとって最高のプレゼントだから。
write:2021.02.11
edit:2021.08.01
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